2012年3月26日月曜日

SE-905試作機

とりあえず開発目標をα形、ロスヨーク機構に決めたのはいいですが。

ピストン径、ストローク、リンクの寸法、また使用する材料の問題などがたくさん出て今思うとぞっと
しますね。

基本の部品はダイキャストで製作するのでいいのですが、それ以外の部品、ヒートキャップ、ディスプレーサー、パッキンなどなるべく市販の材料でまとめようと思いましたが、適当な物が見つからず、専門業者にお願いすることにしました。

設計するにあたり、インターネット、様々な本を調べて難しい理論を除けば大体理解できました。大学などで様々なエンジンを製作していますが、理論と現実のギャップが大きくて完成してもエンジンがうまく動かない事があるようで。

それは何かというと、加工した部品の寸法精度が出ていない事が一番の問題ではないかと。

常日頃思うのですが、あたりまえのことを実行することが一番でそれを行うことが出来ていないですね。

話は外れますが、どうにも我慢が出来ないので今の政治を見ていると特に感じます。目的と手段が全く逆になっている。
簡単にいうと、本来手段である消費税引き上げが、いまはそれ自体が目的化して動いていますね
今の景気状態を考えると逆立ちしても納得できないことです。ヽ(#`Д´#)ノ


リンク機構の設計
ロスヨークは、2つのピストンの直線運動を位相差をつけ、T字クランクをかいしてクランクディスクを回転運動に変える機構ですが、リンク間の寸法比が分からず苦労しました。
結局、CADで各リンクを設計し組み合わせ実際の動きを確認しながら、寸法を決定しました。
後から分かったのですが、近似的な計算式はあったようです。
始動性とデザイン考慮して位相角を120°としました。



ピストン、シリンダーの設計
これも重要な問題ですが、ピストンとシリンダーのクリアランスをどの程度にするか、また材質を何にするか。ピストンとシリンダーは注射器が理想ですが、取扱上の問題と耐久性のから除外して最初からアルミダイキャスト製にしました。
スターリングエンジンは特に外部から熱を加えるため、熱膨張の事を考慮しないと長時間安定した運転が出来ません。そのため同じ材質か、同じ熱膨張率を持つ材料を使用しないと後で泣きを見ます。
クリアランスは圧漏れを考慮するとΦ18で5μが理想ですが、摩擦抵抗が大きくなり動かなくなるので20μ~30μの範囲が適当と思われます。
また表面処理を施すことが重要で、アルミの場合摩擦係数が大きく常温では良くても、温度が上がると一発でかじり固着します。

表面処理の要求事項 低い摩擦係数 耐熱性 耐摩耗性

テフロン塗装(フッ素コーティング)

WPC処理(モリブデンショット) 

DLC (ダイヤモンドライクカーボン)
ダイヤモンドのようなカーボンだそうです。

テフロンメッキ(無電解ニッケルテフロンメッキ)

その他 良い表面処理方法があれば教えてください。 ((ノ(_ _ ノ)ヨロシクオネガイシマス

現在は様々な処理方法がありいろいろ試してみました。
結果としては、テフロンメッキが適しているようです。

今後、様々な表面処理が出てくることで、性能が飛躍的に向上することが期待できます。

そんなわけで試運転の動画です。
本体はアルミ材の加工品、クランク関係は金型を製作してダイキャスト品です。
取り付け台はあり合せの物で代用しました。
とりあえず動いてほっとした瞬間です。

撮影 09.05.05






 次回につづく

23 件のコメント:

  1. DLCは時代を駆け抜けていった。今や時代はS-MAGIC。

    返信削除
  2. 「これですね。」
     島根県安来市に巨大な工場を構える日立金属が開発した新型工具鋼 SLD-MAGIC(S-MAGIC)は微量な有機物の表面吸着により、金属では不可能といわれていた自己潤滑性能を実現した。この有機物の種類は広範囲で生物系から鉱物油に至る広い範囲で駆動するトライボケミカル反応を誘導する合金設計となっている。潤滑機械の設計思想を根本から変える革命というものもある。
     このトライボケミカル反応にもノーベル物理学賞で有名になったグラフェン構造になるようになる機構らしいが応用化の速度にはインパクトがある。

    返信削除
    返信
    1. 匿名様 具体的な内容をありがとうございます。
      少し調べてみます、こちらでは今、ナノダイヤモンドメッキのテストを行うところです。
      テフロンメッキに比べて耐久性が良くなるみたいです。
      詳細は後日ブログで報告します。
      また何かありましたら宜しくお願いします。
       m(._.)m

      削除
  3.  それにしても日立金属の高性能冷間工具鋼SLD-MAGICのトライボロジー特性は凄いですね。先月の、日刊工業新聞社の「プレス技術」で読みましたが、微量の油を塗ったセミドライ状態で、摩擦させると先端技術のDLCのような自己潤滑性(摩擦係数が下がる)が出るなんて。耐摩耗性もたかいのでコーティング費用分コストパフォーマンスがよく、耐荷重能も相当応力で2500MPaと高強度でベアリング・金型などのいろんな機械の転動・摩擦・摺動部品に使えそうだ。まさにノーベル賞級の発明だ。 byカーボンオフセット

    返信削除
  4. 先日、その高性能工具鋼の自己潤滑性とかいう話を日本トライボロジー学会で聞いたが、モリブデンとかカーボン、それにDLCコーティングなどの怪しげな論説とも整合し、油中添加剤の極圧効果にも拡張できる話は面白かった。そのメカニズムをひらたくいえば世界初の本格的ナノマシンであるボールベアリング状の分子性結晶が表面に自己組織化されて、滑りが良くなるということらしい。

    返信削除
  5. その物質、グラファイト層間化合物というものらしいですね。ハイテン用のプレス技術の業界では、この材料で金型を作るとカジリが抑えられることで広がっていったのですが、そういったナノメカニズムだったんですね。

    返信削除
  6. しかしながら、固体材料の頂点である工具鋼に自己潤滑性があるとはなんとも無敵な話ですね。

    返信削除
  7.  うち鋼材やなんですが、SKD11の在庫量を少し絞りました。

    返信削除
  8. それにしても日立金属の高性能工具鋼SLD-MAGIC(S-MAGIC)の評判高いですね。少し前にその自己潤滑性とかいう話を日本トライボロジー学会で聞いたが、モリブデンとかカーボン、それにDLCコーティングなどの怪しげな論説とも整合し、油中添加剤の極圧効果にも拡張できる話は面白かった。そのメカニズムをひらたくいえば世界初かつ世界最小の本格的ナノマシンであるボールベアリング状の分子性結晶(グラファイト層間化合物)が金属表面に自己組織化されて、フリクションが良くなるということらしい。

    返信削除
  9.  ダイヤモンドに自己潤滑性はなくて害悪しかないときっぱりと主張したフリクション新理論CCSCモデルは、素晴らしいインパクトがありますね。表面処理のエセ技術者が大量失業になるかもしれませんね。

    返信削除
  10.  そんなことはありません。CCSCモデルは単にトライボロジー特性がなぜあれほどバラツキ、怪しげな潤滑剤商品が溢れ、さらには技術者たちが実機試験を繰り返すようになり、ワイブル関数を使わないといけなくなったのかの根本を説明しているように思われます。
    なにせ、油がEHLを飛び越えて分子を保持できないほどの圧力を受け場合、ダイヤモンドになるかグラファイト系物質になるかの両極端の物性を持ったものが形成されトライボデータはバラツキ、実機試験に技術者は走るようになったという壮大な歴史的パノラマが見えそうな理論だと思いました。
     コーティングのこの原理を使えばいいので新たなる展望が見出されたと考えるべきではないでしょうか?

    返信削除
  11.  そのメカニズムはCCSCモデル(炭素結晶の競合モデル)といって、すべりの良さばかりでなく、摩擦試験データのバラツキが信頼性工学で言うバスタブ曲線になることや、極圧添加剤の挙動、ギ酸による摩擦特性の劣化挙動など色々と説明ができそうなトライボロジー理論らしいですね。トライボロジー関連の機械の損傷の防止、しゅう動面圧の向上設計を通じた摩擦損失の低減、新規潤滑油の開発など様々な技術的展開が広がっていきそうですね。

    返信削除
  12.  表面処理の金融モデルを変更しないといけないかもしれませんね。
    by電通トライベックストラテジーズ

    返信削除
  13.  それって油が摩擦によってダイヤモンドになって損傷するという理論でしょ。むかしから疑問だったんだけど疲労強度って材料強度の1/2~1/3程度なんだけど、軸受や歯車を設計するときの許容面圧って材料強度の1/100~1/1000ぐらいでしょ?なんでこんなにも差があるのかずっと気になっていたが、ダイヤモンドができるのであれば異常に許容面圧が低いことに納得できる。本当に目からうろこって感じだ。
    byパワートレイン関係者

    返信削除
  14.  いずれにしても松江の金山浸炭は終わってしまいましたね。

    返信削除
  15. ここに、濃密な情報発見。

    https://www.researchgate.net/profile/Kunichika_Kubota

    返信削除
  16.  境界潤滑といえばあの高名な物理学者ヴォルフガング・パウリが「固体は神が作ったが、表面は悪魔が作った」という言葉を思い出す。それほど移ろいやすい表面からくる境界潤滑のバラツキやすい特性は長年、トライボロジー関係者を悩ませてきた。それは全く真逆の物性を有する表面のナノレベルの炭素結晶であるダイヤモンドとグラファイトであることが原因だったとはついぞ人類は知らず、ワイブル関数をこしらえたりして、信頼性工学における苦心をしてきたものだった。それが氷解したばかりか、極圧添加剤の効果がじつはGIC(グラファイト層間化合物)結晶になりボールベアリング状のナノ結晶であるということは驚きである。シンプルなモデルで多様な境界潤滑特性を説明できる理論を私は他に知らない。

    返信削除
  17.  トライボシステムの開発がダイセルの姫路研究所でスタートしたようです。

    返信削除
  18.  しかしこれでガンダム級の巨大ロボットの開発に道筋がついたと思う。

    返信削除
  19.  プラントメンテナンスなんかにも有用そうな理論ですね。

    返信削除
  20.  久保田博士は兵庫県立大学(理学部)でCCSCモデルのプレゼンをした模様。

    返信削除
  21. GIC結晶は-50℃くらいまで潤滑性をだすのでSLD-MAGICで部品つくるとコールドスタートに強いエンジンなんかができるでしょうね。

    返信削除
  22.  そうか、C.C.Yangの論文が引用されていたが、あれがコールドスタート時のダイヤモンド粒子の熱力学的サイズを決めているのか。

    返信削除