2012年3月29日木曜日

スターリングエンジンの実状


ところで、スターリングエンジンの実状としては。

現在世界中で、実用的なエンジンの研究開発を行っていますが、一般的な製品としては普及していないようです。
一番の問題点として、出力を大きくすると(1kW以上)作動ガスに高圧の気体を利用するため耐圧のエンジン構造となり出力あたりの重量が大きくなる。
(高圧ガスの漏れを防ぐシール機構、またエンジンを始動するための減圧及び昇圧機構が必要になり、出力あたりの重量、容積、価格の面で内燃機関、その他の機関に比べて劣っている)
日本ではゲージ圧力が0.1メガパスカル以上になると圧力容器と規定され法律の規制を受ける。

そのように、出力の大きなモノを目指すと、いきなり大きな壁にぶつかります。
今のところは、小さなエンジンで試行錯誤しながら出力の向上を目指していますが、開発の初期に比べると、2倍の出力が出るようになりました。

このエンジンの宿命として、熱を直接取り込むことが出来ません。それは機密性を必要とするため、金属製の壁から熱を取り入れているからで、熱量の100分の1しか取り込めません。
そこらへんにもヒントがあるかもしれません。

しかし、実用機の開発も本格化しているようです。
日本スターリングエンジン普及協会

これから一般家庭向けの製品が開発されることを期待します。

2012年3月28日水曜日

初期スターリングエンジンの改良

前回の続きです

とりあえずエンジンは、何とか完成したのですが、これだけでは商品にならず、取り付けベースの設計で苦戦しました。

クラシックタイプ

?????タイプ

結局このタイプにしました。

東京都産技研のデザイン講習を6ヶ月ほど受けました。
デザイナーの先生方には不評でした。(かなりきついツッコミが入りました)(=_=;)
この先を予感したのでしょうか?

最初はエンジンのパワーが無くよかったのですが、ピストンの表面処理方法や、寸法精度を上げて出力を上げていくと別の問題が発生してきました。(パワーアップの方法は後で説明します)

不評の取り付けベースは、アルコールランプを上に載せた構造だったのですが、出力が増して高回転になったことで、エンジンが振動してアルコールランプが踊り、エンジンが動き出すようになってしまいました。  (lll ̄□ ̄)

勝手に動いてくれました。 ベースが! エンジンではありません。



対策として2㎏もあるスチールの板を取り付けましたが、振動のパワーは恐るべし!



これでしばらくは、振動対策に追われることになりました。

下手をするとこの金型はパーになります。


2012年3月26日月曜日

SE-905試作機

とりあえず開発目標をα形、ロスヨーク機構に決めたのはいいですが。

ピストン径、ストローク、リンクの寸法、また使用する材料の問題などがたくさん出て今思うとぞっと
しますね。

基本の部品はダイキャストで製作するのでいいのですが、それ以外の部品、ヒートキャップ、ディスプレーサー、パッキンなどなるべく市販の材料でまとめようと思いましたが、適当な物が見つからず、専門業者にお願いすることにしました。

設計するにあたり、インターネット、様々な本を調べて難しい理論を除けば大体理解できました。大学などで様々なエンジンを製作していますが、理論と現実のギャップが大きくて完成してもエンジンがうまく動かない事があるようで。

それは何かというと、加工した部品の寸法精度が出ていない事が一番の問題ではないかと。

常日頃思うのですが、あたりまえのことを実行することが一番でそれを行うことが出来ていないですね。

話は外れますが、どうにも我慢が出来ないので今の政治を見ていると特に感じます。目的と手段が全く逆になっている。
簡単にいうと、本来手段である消費税引き上げが、いまはそれ自体が目的化して動いていますね
今の景気状態を考えると逆立ちしても納得できないことです。ヽ(#`Д´#)ノ


リンク機構の設計
ロスヨークは、2つのピストンの直線運動を位相差をつけ、T字クランクをかいしてクランクディスクを回転運動に変える機構ですが、リンク間の寸法比が分からず苦労しました。
結局、CADで各リンクを設計し組み合わせ実際の動きを確認しながら、寸法を決定しました。
後から分かったのですが、近似的な計算式はあったようです。
始動性とデザイン考慮して位相角を120°としました。



ピストン、シリンダーの設計
これも重要な問題ですが、ピストンとシリンダーのクリアランスをどの程度にするか、また材質を何にするか。ピストンとシリンダーは注射器が理想ですが、取扱上の問題と耐久性のから除外して最初からアルミダイキャスト製にしました。
スターリングエンジンは特に外部から熱を加えるため、熱膨張の事を考慮しないと長時間安定した運転が出来ません。そのため同じ材質か、同じ熱膨張率を持つ材料を使用しないと後で泣きを見ます。
クリアランスは圧漏れを考慮するとΦ18で5μが理想ですが、摩擦抵抗が大きくなり動かなくなるので20μ~30μの範囲が適当と思われます。
また表面処理を施すことが重要で、アルミの場合摩擦係数が大きく常温では良くても、温度が上がると一発でかじり固着します。

表面処理の要求事項 低い摩擦係数 耐熱性 耐摩耗性

テフロン塗装(フッ素コーティング)

WPC処理(モリブデンショット) 

DLC (ダイヤモンドライクカーボン)
ダイヤモンドのようなカーボンだそうです。

テフロンメッキ(無電解ニッケルテフロンメッキ)

その他 良い表面処理方法があれば教えてください。 ((ノ(_ _ ノ)ヨロシクオネガイシマス

現在は様々な処理方法がありいろいろ試してみました。
結果としては、テフロンメッキが適しているようです。

今後、様々な表面処理が出てくることで、性能が飛躍的に向上することが期待できます。

そんなわけで試運転の動画です。
本体はアルミ材の加工品、クランク関係は金型を製作してダイキャスト品です。
取り付け台はあり合せの物で代用しました。
とりあえず動いてほっとした瞬間です。

撮影 09.05.05






 次回につづく

2012年3月22日木曜日

量産型スターリングエンジン仕様

前回の失敗を基に、基本に沿って開発することにしました。

スターリングエンジンの仕様
基本型式
α(アルファ)形 2つのパワーピストンを持ち、β(ベータ)形やγ(ガンマ)形に比べて高出力になる。
反面、ピストン、シリンダーのに密閉性と摺動性が求められるため高精度な加工が必要とされる。

ハイパワーなα形エンジン

18-14D テクノプロト製

模型エンジンでは珍しいβ形 ピストンとディスプレーサーが直列に配置される。

海外の自作模型

ウッドガスを熱源としたβ形エンジン 見た目よりとても高性能に仕上がっている。



一般的なγ形 HB7 Bohm 社製
パワーピストンとディスプレーサー(空気を移動させるだけパワーを生まない)を別々のシリンダーに収めた形式でα形と似ているが出力が小さく模型エンジンによく用いられる。




出力取り出し機構
コンパクトで、メカロスの少ないロスヨーク機構。リンクの動きが面白く小型エンジンには最適な機構です。この機構は米国のAndy Rossが今から約30年前に考案した機構です。
この機構は、模型エンジンにあまり採用されていないようです。
You Tubeを見ていたら本人?と思われる方が、投稿しています。さすがに動きがスムースで関心しました。

ロスヨーク機構に振動抑制バランサーを組み込んであります。


こんなエンジンもありました。



開発目標はハイパワーなα形ロスヨーク機構のエンジンに決めました。





2012年3月15日木曜日

スターリングエンジン一号機

一号機の製作
インターネットや資料を読んで、大体スターリングエンジンの基本は理解したつもりでした。
最初は、市販の製品で応用できないかと考えエアーシリンダーで作ることにしました。


イメージ図











このシリンダーです。

特徴として抜群の機密性、特殊ゴムのローリング作動による非常に滑らかな動き、微圧で作動し、僅かな圧力変動にも、敏感に応答。
通常のエアーシリンダーのような、ピストンにシールを使用せず、特殊ダイヤフラムのローリング作動により、摺動抵抗を少なくしたシリンダー。

早々に各部品をそろえ、組立 いざ試運転、ガスバーナーでヒートキャップを加熱、フライホイールを手でいくら回しても動いてくれません。(ノ_・、)
熱量が足りないと思い、ヒートキャップが真っ赤になるほど加熱してもピクリともしませんでした。

文章で書くと短いですが、位相差がおかしいのか、回転が逆なのかいろいろ悩みましたが、結局失敗でした。


 



メカニカル損失も大きく、一番の原因は負圧になった時にダイヤフラムがピストンに噛みこんで、動作しなかったようです。









考えがあまかった、そんな簡単に出来るはずはないのです。

この失敗を基に、構造、原理を調べ、一から設計を始めることにしました。^^;

2012年3月14日水曜日

やはりスターリングエンジン

前回記事 を先に参照して下さい。

よく調べてみると、スターリングエンジンを実用レベルで使用することに多くの問題点があることが分かってきました、夢のエンジンといわれる所以です。実用化に向けて数々の失敗があったようです。(大きな声ではいえませんが)
ただ、他の機関にない優れた特性があり、長所を活かせばそれなりの活用方があるはずです。

スターリングエンジンの心臓部に注射器が使われるのは、それだけの理由があった訳で、滑らかな摺動、圧漏れのない特性、寸法精度が備わっていたからです。


単純にアルミに置き換えれば出来るものでもなく、ここから試行錯誤が始まりました。
課題1 寸法精度の問題 (クリアランス、同軸度)
課題2 熱膨張の問題 (構造物の形状により、熱膨張で変形の可能性がある)
課題3 耐久性の問題   

上記課題をクリアーするための研究をはじめました。
またそれ以前に、スターリングエンジンの現物を見たこともなく、今思うと------。 (^_^;)

まずは行動あるのみ いくら考えても絵に描いたもちで腹を満たしてくれません。

早速、学研さんのエンジンを購入して組立
確かに動いた時は感動しました。--------これ以上のものを作ろう!
 
大人の科学 スターリングエンジン

また、良き協力者とめぐりあえるかが問題で、恐る恐るある人に連絡を取ることにしました。
ノートに話す言葉を書き留めて電話しました、以外にもあっさりとこちらの提案を受け入れてくれました、やってみるものだと。\(^o^)/


これらがスターリングエンジン開発の原点となりました。

2012年3月13日火曜日

なぜスターリングエンジン?

なぜ?
スターリングエンジン
もともとは、ダイキャストの本業だけでは、将来食べていけないと思ったからです。
2008年のリーマンショックから始まった世界同時不況。特にわが国の中小製造業は悲惨でした。

ただ口を開けて仕事を待っていても、毒饅頭をほうりこまれるだけで、いずれ毒が回って身動きが取れなくなる。
とりあえず何かしないとマズイ、考えるだけでは前に進まないどうしよう。ヽ( ̄▽ ̄)ノ
よし、行動あるのみ。
そこで、ない頭で考えたのがダイキャスト製法(一番コストがかからないから)で自社製品を開発すること、それで何を作るか、誰に売るか、どのようにして------、
ある会合でそのことを話したら笑われました。


普通の製品開発では、まずはじめに何を開発するのかを決めて、後から製法を考えるそうです。
私の場合は、もう既に製法は決まっていて後から何を作るかを決めたことです。???(o-_-o)
我々のような零細企業は贅沢を言ってられません。
おのずとできる物は、限られます。そこでアルミニウムダイキャストの利点を挙げていきました。
いろいろありますが、あげていくとキリがないのでただ一つプラスチックに比べて高温に強いという事に気が付きました。当たり前
そこで火を使った製品を調べていきました。
ガスバーナー、アロマポット、アルコールランプ、etc
そういえばスターリングエンジンという物があった事を思い出しました。
もともとメカが好きなので調べていくと、このホームページにたどり着きました。


この中で特にスターリングエンジンの模型に興味を持ちました。
そこでは、ピストンとシリンダーに注射器をよく使用していました、よしこれだ\(^o^)/と。
これにアルミダイキャストを使用しようと。-------しかしものの見事に撃沈 ┐(´~`;)┌

次回につづく。

忙しいので少しづつ紹介していきます。
どうも文章は苦手です。

2012年3月7日水曜日

スターリングエンジンって何?


近年環境に配慮したエコロジー精神溢れる製品が増えている中
スターリングエンジンはそんな時代にあった古くて新しいエンジンです。

今から196年も昔、1816年にスコットランドのロバート・スターリング牧師が発明しました 。シリンダー内の気体を外部から加熱・冷却することによってピストンを動かし、動力を得るというシンプルな構造で当時主流だった蒸気機関に変わる新しい外燃機関として開発が進んだのですが...

当時の技術力では実用化は難しくそのまま開発は難航して頓挫したエンジンです。(もっと詳しく知りたい方はWikipediaの記事が簡潔にまとまっていて読みやすいです)

そんなスターリングエンジンですが、近年の様々な環境問題がある中、熱源があれば運動エネルギーが取り出せるスターリングエンジンを廃熱・バイオマス燃料・太陽光等で動かすエンジンとして日々研究開発しています。

その宣伝を兼ねて当ブログでは日々の研究結果やスターリングエンジンの紹介をしていきたいと思います。