2012年12月20日木曜日

スターリングエンジン組立講習会

先週12月15日の土曜日にスターリングエンジンの組立講習会を行いました。
初めての試みで不安でしたが、7名の方に参加いただき好評の内に終わらせることができました、参加者及び講師の方々にはこの場でお礼をさせていただきます。
誠にありがとうございました。

講習会の中身は、スターリングエンジンの基礎と実際に製作する場合の要点またSE-905エンジンの開発時のコンセプト等を講演しました。

スターリングエンジン組立講習会

1.スターリングエンジンについて
 (エンジンの歴史、動く仕組み、応用方法)
2.エンジンの製作ポイント
 (どこにでもある部品を使ってできるスターリングエンジン)
3.SE-905開発コンセプト
 (1号試作機から現在のエンジンができるまで)
4.エンジンの組立
 (905組立キットの製作)
5.エンジンを動かしてみよう!
6.スターリングエンジンの現在と未来
 (このエンジンが自分にとって「生きがい」の可能性について)
7.フリー討論会 (質疑応答)
8.スターリングエンジン見学会

会場 有限会社 協和合金 会議室


講演の様子


エンジンの組立
細い部品があり大変でしたが皆さん真剣に組み立てていました。


終了後の記念撮影



初めての開催であまり宣伝をしませんでしたが、今後も定期的に開催していきたいと、思っています。
開催の趣旨としては、スターリングエンジンに興味のある方、または自作してみたいと考えている方を対象にして、長くスターリングエンジンの研究に携わってきた大学の先生、また個人的にたくさんのスターリングエンジンを製作してきた方々を講師として招き、実際に模型スターリングエンジンを改良を重ねながら量産をしてきた体験などをアットホームな雰囲気の中で語っていきたいと思っています。

講習会の内容も初級編から実際にロケットストーブなどの熱源を含めた総合的な内容を伴う中級編、また環境を考えたエネルギー問題、スターリングエンジンを通して、もの創り技術を継承することを目的とした上級編を開催することが一つの目標です。

(*´∀`)ノ よろしくお願いします!

2012年12月16日日曜日

水平対向エンジン

前回の投稿から一ヶ月以上の月日が流れてしまいました。
あっと言う間です、年を取ると体の中の時計(体内時計)が早くなると言われていますが全くそのとおりで、11、12月は展示会などいろいろあり、下書きは10月に書いたのですが今になってしまいました。

ところで今回は、Mさんのエンジン紹介です。
5年程前から、自宅で畳の上に工作機械を揃えてスターリングエンジンの製作をしてきたそうです。
経験からわかりますが、夫婦の仲が相当良くないと中々できることではありません
私の家でこのようなことをしたら1ヶ月以上、妻は口を聞いてくれないでしょう。
争いの元になります。ヽ(^-^;)ノ 

そこらへんの秘訣を聞きたいですね。

ところでエンジン仕様ですが

α型 ロンビック機構 ピストン径60mm ストローク24mm

ピストン ステンレス

シリンダ 銅合金系焼結合金

再生器 ステンレス板0.1mm

ヒートキャップ ステンレス(計量カップ) 目盛のあるところがなんとも言えませんね

このエンジンのすごいところは、アルコールランプの熱量(800w)でも動くことで、このくらいの大きさになると相当な熱量が必要でバーナーで相当加熱しないと起動しません。シリンダーに銅合金系焼結合金を使っているのがミソで寸法精度もかなり出ていると思われます。
またα型であるにも関わらずピストンを水平対向にすることで振動を抑えており、普通ですとこのクラスのエンジンを手で押さえて起動するとエンジンが暴れて動かすことが出来ません。

特徴として、とてもコンパクトに設計され、高温側と低温側が離れているため温度差を取るのに優位です。
駆動機構としてロンビックは普通β型に使用されるのですがα型では初めて見ました。

ロンビック機構



課題として高温と低温側の流体通路の流動抵抗をいかに少なくするかでしょうか。

製作上苦労した所を聞くと
ヒートキャップが薄く先端が平面なので、運転時ペコペコと平面部が変形しましたが先端部を少しドーム状に打ち出して解決しました。
ロンビック機構のストロークと位相角、同調歯車の大きさが相互に関連するので、寸法決定に苦労しました。
とのことをいわれていましたが、これだけ大きなエンジンをたいした苦もなく動くエンジンに仕上げた所に頭が下がります。 /(・_・)

是非実用性のあるエンジンに仕上げたいところです。


水平対向 スターリングエンジン



2012年10月1日月曜日

スターリングエンジンで走る電車

先日、ある方からメールをいただきました。
スターリングエンジンを購入いただいたお客様ですが、外観もスッキリまとまっていてすごいの一言です。

元々模型いじりが好きで、今は鉄道模型をやられているそうです。
この模型は、スターリングエンジンで発電してモーター駆動で走行しているようで、一度実物を拝見させてもらおうと思っています。
(http://homepage3.nifty.com/~s-haga/index.html)

苦労した点は、エンジンの振動をどう抑えるか、また少ない発電量を省電力対応の回路とモーターを採用してここまで走るようになったそうです。
今のところ世界でも例のない鉄道模型ではないでしょうか。
製作技術はもちろんですが、発想が我々とは違いますね。







その動画です。

2012年9月27日木曜日

ローテク スターリングエンジン

暑い夏もそろそろ過ぎようとしています。
仕事のやりすぎで夏バテ気味でしたが、涼しくなってきたのでまたスターリングエンジンの次期開発を進めようと思っています。
アイデアはあるのですが、実際行動に移そうとなるとかなりのパワーが必要で、今現在充電中です。
おかげさまでいろいろな方々の知恵を借りながら今後の方針を練ってきました。

前回も予告編で書きましたが、今回はピコピコガンマーの開発者I さんのレポートを紹介します。
スターリングエンジンを自作したい人の参考になると思います。
身近にある材料でも、工夫をすればこれだけのものができてしまうという さすがです。



 
  
             





 マグカップスターリングエンジンの動画 製作例1


ピコピコガンマー スターリングエンジン 製作例2
なぜか動画のタイトルはペコペコになっています、いつもペコペコ頭を下げているからでしょうか???

2012年7月4日水曜日

しばらくぶりの更新です

ここ一ヶ月ほど忙しく更新ができませんでした。
この不景気なときに忙しいと、うらやましがられますが、資金繰りに忙しいということです。  
| ̄ω ̄、|グスン

また次の開発を目指していろいろ検討事項もあり、これから紹介していきます。

予告編

Mさん設計のピストン径Φ60 水平対向型スターリングエンジン
まだ了解を得ていないのでとりあえず写真だけです。


Kさん考案のUSO-800 バイオマス発電 スマートストーブ


I さん設計のピコピコガンマー スターリングエンジン








2012年6月8日金曜日

SE905-N/Gモデル紹介

今書いている記録は今よりも1〜2年過去の記録なので
ここら辺で一度現行の情報をまとめようと思います。




今現在販売中のモデルで一番最初に販売したのがこのSE-905N/Gシリーズになります
写真の物はSE-905GというモデルでSE-905Nはこのモデルから発電機を外した商品です

基本的なスペックは同じなのでまとめて紹介します。

------- SE-905N/G基本スペック -------------------------------------------------


  • ロスヨーク機構
  • ピストン径 [16mm] ストローク[11mm]
  • 行程容積 [膨張側2.8cc 圧縮側2.8cc]
  • 軸出力 [0.6W]
  • 最高回転数 [3,000RPM]
  • 位相角 [120°]
  • ガス温度 高温側[350°〜500°] 低温側[40°〜80°]
---------------------------------------------------------------------------------------



またGモデルにつく発電機には出力端子がついており
発電した電気を利用することも出来ます。

良くお客様から「どれくらい発電出来るのですか〜」とのお声を頂くのですが
上の表にある通り、0.6W程度…といった感じです。
(熱し方や周辺環境によって変わるので若干曖昧です)

土台となるベースから取り外せるので自作模型の動力などにもご利用頂けます。

その他詳しい情報が知りたい方は説明書等もダウンロード出来ますので、
弊社HPをご覧下さい。

2012年5月14日月曜日

4WD模型

本業がヒマなのでタミヤの工作基本キットを使用して905のエンジンを載せてみました。3台作りましたが、細かいところがすべて違っています。

オリジナル  タミヤ4輪駆動車工作基本キット 


改造ポイントは、まず木のシャーシーをアルミ製にして、重量が増したのでノーマルサスは不十分でスプリングで強化。フロントグリルもそれぞれ個性をもたせ、それ以外はほとんどオリジナルパーツを流用。


オリジナルのモーターでは発電効率が悪いので交換して、1号機だけはツインエンジンのカップリングが余っていたのでそれを使いました。


改造した4WDカー

思った以上に走破性はありました。
さすがに4WDです。
(●⌒∇⌒●)


2012年5月11日金曜日

スターリングエンジン ラジコンカー

18-14Dの高トルクな特性を生かして、完成した究極のラジコンカーです。
従来のスターリングエンジン模型は、回転するだけの製品が多い中でこのエンジンの性能は驚異的です。




運転動画


しかも本格的なデフと、無段変速機(前、後進)を装備しています。
すべての部品が手作りで、ケースの樹脂はシリコンの型を作って鋳造しています。


普通はスターリングエンジンで自動車模型作るとこんなものでしょうか?


2012年5月9日水曜日

18-14Dスターリングエンジン

スターリングエンジンの面白いところは、様々なクランク方式を採用していることですが、今回はシンプルな構造で原理を理解するのに適した構造となっている18-14Dの解説です。

このエンジンは私の師匠のKさんが製作したモデルを元に、機構部品をすべてダイキャストで制作したものです。
特徴として位相差を変えることができ、その特性を体感できます。またその長いピストンのせいで圧漏れが少なく、大型フライホイールを使用しているため高トルク特性となっています。
SE-905に比べると約2倍の長さがあり厚漏れは抑えられるのですが、摺動抵抗は大きくなるようで、そのためか905のように高速回転はしませんが、低回転でのトルクは905に比べると太くなります。



18-14D 構造図(クリックで拡大)

ロスヨークの場合には位相差を変えるには、各リンクの寸法を変更しなければできないので大改造になりますが、この方式ではクランクディスクの調整で容易に変更が可能です。

移相差の調整(クリックで拡大)

18-14D動画

次回はラジコン自動車を紹介します。

2012年4月24日火曜日

ツインエンジンの完成

ツインエンジンにすると迫力は出てきたようです。
ただ次の展開というかストーリーが完全ではありません。
これを何に使ったらいいのでしょうか?
作る前まではいろいろあったのですが、いざ出来るといろいろな問題が出て来ます
しかし、これも研究開発の一つとして意義があると一人で勝手に思っています。
発電部は市販の手回し発電機の部品をバラして使用
ニッカドバッテリーに一度充電してから携帯に充電するタイプ


完成動画

これから商品になるには、熱源部、DCダイナモ、基盤、バッテリーの手当をしないといけないのでまだ時間がかかりそうです。いまのところ目処が立っていません。
いろいろ試してはいるのですが、しっくりいきません。

普通の企業ですと、開発者としてはクビになるところです。
オマエはクビだ!ボケ (`・ω・´)
重々承知しております。(-_-;) 

設計者としては、最悪の自己満足の世界にはいっています。

これからじっくり考えてみます。

2012年4月18日水曜日

ツインエンジンの設計、制作その4


 いつものように最後の詰めが甘く、熱源と取付ベースの仕様で頭を悩ませることになりました。
いろいろアイデアはあるのですが、実現するための資源(資金)の問題でつまずきます。

エンジンの取付については、当初L字のアングルでごまかそうと思いましたが、全体のバランスを考えるとイマイチです。



とりあえずオマケです。


せっかくエンジンをここまで仕上げたのに、スーツを着てサンダルを履くようで、やはりダイキャストでステー作ることにしました。
そこまで考えると欲が出てきて、発電機と一体構造のものにしました。



完成は次回です。

2012年4月17日火曜日

ツインエンジンの設計、制作その3


CADのおかげで、試作品の組立はとても楽になったものです。20年以上も前ですと部品の組付で寸法が合わなかったり、部品どうしが干渉したりして、結構苦労したものです。
それが今では、相当な精度を要求しないものは一発で組むことができるようになりました。
しかし実際には、寸法公差のとり方で調整に苦労することがあります。

余談ですが、CADの発展により逆の側面も出てきています、それは設計者の経験不足によるものでしょうが、製品図は公差が0でいくらでもかけるのですが実際に加工する現場では、公差が0の製品を作ることは不可能です。
それは、設計者が加工技術をよく理解していればいいのですが、普通に考えるとどうでもいいところまで、厳しい加工精度で図面を仕上げる事があります。
 T(;_;)Tおてあげ 

話すとながくなるのでこの話は次回に譲りますが、要はいい加減、適当で構わないということです。

この本来の意味としては いい加減、適当 良い塩加減 適切に当たとか本来人間の感性に沿った良いプラスの意味合いもあるそうです。
私個人の意見としては、一時一世を風靡したISO規格(性悪説)によるものと勝手に思っています。元々日本人は性善説でこの手法は日本になじまない手法ですが、海外の圧力に屈して導入したものです。今はこれをやめる企業も多いと聞きます。
これだけではありませんが、日本の製造業を弱くしてきた要因の一部であることには変わりありません。

話がそれたので本題に入ります。

前にも話しましたが軸同士の連結は、偏角、偏心を考慮してカップリングで接続します、これだと多少のずれがあっても許容するので組立が楽になります。問題は値段が高いことですが、組立の調整コストを考えると安いものです。


CADで設計しただけあって一発で組み上げる事が出来ました。



一応ツインエンジンはできたのですが、取付ベースと熱源が問題になりそうです。
いつも、いきあたりばったりで計画性がなく困ったものです。  (+o+)
それについては次回に...................

2012年4月16日月曜日

ツインエンジンの設計、制作その2


今回はCAD設計から、どのようにして金型製作するかを説明します。

最初は、機能的な寸法を決定してから形状を作ります、前回アルミプレートを製作した時にそのデーターがあるのでそれを利用します。
この段階で様々なデザインを検討し、それと同時にダイキャスト化できる形状に煮詰めて行きます。
通常は製品形状を決定して後から製造方法を決定するのですが、そうすると形状によっては加工することができない箇所があったり、2次、3次と追加の加工をしなければ出来ないことで高コストな製品になってしまします、そのため製作段階で形状変更をよぎなくされます。
外観デザインが優先する製品は別ですが、通常は機能を満たした上でのデザインになるのが普通で、それを製作工程を考慮した上で製品設計をすることで短期間で製品を作る事ができます。
(普通は製品設計と製作部門が別なため後から設計変更が生じて、時間の無駄最悪な場合には
最初から設計をやり直さなければならなくなります)

ここでは、設計者が製造工程を熟知した上で設計するので、作ったデーターをそのまま製作用のデータにできるので、短時間、低コストで試作品を作ることが出来ます。

デザインの検討


最終デザインの決定


デザインが決定したら、普通に製品を加工するにはこのデーターでいいのですが、金型はすべての形状が逆になるので、これから反転データーをつくり金型用データーとします。

今はITの技術が進歩しているので楽にできるようになりましたが、昔の金型職人は頭の中ですべての形状を逆に捉えて型を作っていました、この考え方は重要で、今ある事情を反対側から考えるという発想が身についてのかもしれません。(逆の立場で物事を考える


こんな感じでデーターを反転します。


最後に、湯道、ゲート、オーバーフローを加工して一応完成です。


このデーターをCAMでマシニング用のデーターを作り加工します。簡単ですが、こんな感じで金型を作ります。
この金型を鋳造機で鋳込むことで製品が完成します。


次回はできた製品の、組み付け工程です。

2012年4月15日日曜日

ツインエンジンの設計、制作その1


このエンジンの開発当初から、ツインエンジンを制作しようと思っていましたが、単体での性能がそこそこ出てきたので、実行することにしました。

取付方法をいろいろ検討しましたが、組付精度を考慮するとボンネットをツイン用に設計したほうが、安易に取付けるより後々苦労しないだろうと考えました。


今回はいきなり金型を作るのはリスクがあるので、とりあえずボンネットをアルミプレートで加工してエンジンを取り付けました。
軸の結合は、偏心、偏角を許容するためカップリングを使用。
試運転の結果は、良好で振動もお互いに打ち消すので、かなり抑えられます。






これからダイキャストの製品設計をして、金型からつくります。
大変だー (^v^) 

2012年4月14日土曜日

位相差の変更とロスヨークの改造その3

結局スライダー方式は諦めて、位相差を90°で支持クランク方式に戻すことにしました。
ただ、T字クランクの回転ディスクまでの支点距離をながくしたので、現在のシリンダー本体も改良しなくてはなりませんでした、いろいろ悩んだ結果シリンダーの支持クランク接合部をカットして新規に部品を作りました。





いつもの事ですが、とんだ回り道をやってしまいました。

ただしこの改造では、反対側にも出力軸を取り付けています。
支持クランクは片側だけです。







次はツインエンジンの設計に取り掛かります。